土地に借地権の登記がない場合でも、土地上の建物の登記さえあれば、借地人は第三者に対して借地権を主張することができる旨を定めています。それを対抗要件といいます。正確には、借地上に登記された建物が存在し、当該建物が借地人所有で、かつ、借地人名義の登記がなされていることです。
借地権の対抗要件としては、表示の登記があれば足り、権利の登記(所有権保存登記等)までは必要とされていません。(最高裁判所昭和50年2月13日判決)
したがって、借地人は、借地上に建てた建物に自らの名義の登記(少なくとも表示の登記)をしておけば、後に地主が土地を売ってしまっても、その建物が存在している場合、土地の買主に対して借地権を主張することができ、土地を借り続けることができるのです
借地人(土地の賃借人)が対抗要件を備えている場合において土地が譲渡されたとき、賃貸人の地位は、原則として買主に移転するため(民法第605条の2)、賃貸借契約書を新たに締結する必要もありません。